「テラヲ貸物店」代表取締役 村上 誠治さん、専務取締役 寺尾 誠一さん
イベントや式典などの成功を縁の下で支える、「テラヲ貸物店」の代表取締役 村上誠治さん、専務取締役 寺尾誠一さんにお話を伺いました。
改めて会社紹介をお願いいたします。
1928年に、専務取締役の寺尾誠一(写真:左)の祖父の兄弟が創業しました。昭和35年に、現在の有限会社テラヲ貸物店としました。2代目が祖父、3代目が父、そして4代目が現在の代表取締役である村上(写真:右)です。イベントや式典、催事などがうまく遂行するように、企画、設備、設営、備品の貸し出し、当日のお手伝いを行っております。
「わたしたちとかかわる一人でも多くの方々の至幸(※注1)の経験・体験を想像し共有する」を企業理念に、様々な行事や催事の裏方として邁進しております。会場探しのお手伝い、お客様の備品・消耗品のご準備や作品の運搬・発送の手配、当日のスタッフとして参加させていただくなど、イベントの成幸(成功)のためのお手伝いをさせていただいております。
※注1 「幸せに至る」の造語
テラヲ貸物店(かしものてん)の主力はどういった内容ですか?
イベント遂行のための設備、設営を主にお任せ頂くことが多いです。例えば、西陣織、呉服関係の企業様が展示会をされる際に、会場の設計、設営、制作などを行います。京都だけでなく他の地方での開催に同行させていただくこともございます。
そのほか、入学式やオープンキャンパス、文化祭などの学校行事、書道展をはじめとする京都の文化芸術を支える作品展もございますし、さらには地域の地蔵盆、お祭り、運動会などにもお声がけいただいております。
設営から入らせていただくことが主ですが、備品のみお貸出しすることもございます。企業様のみならず、各種団体のお客様が多いことも弊社の特徴かもしれません。
地域にとって欠かせない存在だと思います。その点はいかがでしょうか?
そういっていただけるとありがたいです。確かに、地域で開催される地蔵盆や体育祭などの設営をお手伝いさせていただいているのもあってか「テラヲさん」と親しみを込めてお呼び頂くことが多いですね。また、地域行事の頻度は、年に1回、3年に1回など決して多くありません。ご担当者様や役員様がその都度変わることも多々あります。そんな時に私たちが会場のレイアウト、備品の個数などを把握させていただいていたことで、「安心して任せることができた。」と嬉しいお声をいただいております。
コロナ禍における状況はいかがでしょうか。
ご承知の通り大勢で集まることが難しい状況が続いており、案件数は減少しております。本日は8月17日ですが、大文字の五山送り火の次の日の朝にこんな風にゆっくりお話をさせていただけるなんて、今まであまり例がなかったです。
イベントがなくなることで受け継がれるべき伝統や想い、技術などが途絶えてしまわないかと危惧しております。私たちが大変なのは言うまでもないですが、主催者やイベントを楽しみにしているゲストの方々の思いを考えると、複雑でなりません。また、オンラインでのイベントが増えてきてはおりますが、あまり満足度が高くないのが実情ではないでしょうか。それはやはり、リアルな場でのイベントではないからだと思います。同じ時間を同じ場所で過ごすことがやはり必要だと、個々が実感されているのではないでしょうか。
このような状況は「何のためにこのイベントや行事を行ってきたのか」ということを見直すチャンスでもあるかもしれません。私たちはそういった「何のために」の部分に寄り添いたいと思っています。例えばなぜ京都で地蔵盆が行われてきたのか、地域の子どもたちが減っているのに同じ形でよいのか、など歴史や時代背景に寄り添い、そうすることで提案が広がると考えております。
大変なのは皆さん同じだと思いますが、早く元気にイベントが再開できる日を待ち望みます。
大切にしていることを教えてください。
お客様との信頼関係です。
私たちにとってお客様とは、従業員とその家族、依頼主様、その先のお客様、そして協力会社様全てです。
また、コーポレートカラーの京紫にもあるように、地元京都に根差した企業である誇りを持っています。赤色と青色が混ざり紫ができるように、「情熱」の赤色と「冷静」の青色を持って、イベントが安全かつ迅速に運ぶような姿勢も大切にしております。
イベントって行うことそれ自体がリスクの固まりなんです。さまざまなイベントがございますが、当日何人のお客様が来るだろうか、お天気はどうだろうか、スタッフやゲストなどに怪我はないだろうかなど、色んな状況を想定して準備をされます。そういったリスクを負ってでもイベントを遂行しよう、と思っておられる方が目の前にいる限り力を尽くしたいと思います。
今後の展望を教えてください。
皆様の幸せを心より願い、『成幸(成功)』するため、企画の段階からご提案をしていきたいと考えております。企業理念にもあるように皆様が幸せに至るよう、寄り添っていければと思います。
テラヲ貸物店は、世の中に物があまりない時代からスタートしました。
当時は物を貸すことで喜ばれました。ですが、この令和の時代において、情報も豊富にあり、物欲はもはや飽和状態だと言えます。安価に幅広いジャンルのものが手に入る時代です。だからこそ、我々は原点回帰を行い、私たちが培ってきた経験を整理することで発展していきたいと思います。原点に立ち返るのではなく、古きを知り、新しい価値を創造していくことが必要だと感じています。
お客様に喜んでいただけるように、自社の強みである人間力、企画力、提案力を生かしていきたいです。
最後に、西陣界隈の皆様に一言お願いします。
創業時よりこの西陣の地で事業をさせていただいており西陣界隈の皆様には大変お世話になっております。そのご恩を少しでもお返しするために、地域の皆様に上質な非日常体験をお届けできるよう、より楽しく、より親しみやすい会社を目指していこうと思っております。
お近くに来られた際は是非お立ち寄りください。
地域に開けた会社としてイベント以外のことでも「至幸の経験・体験を創造し共有する」思いには変わりありませんので、日常の些細なことでもご相談ください。できる限りのことはさせて頂きます。
(インタビュアー be京都 岡元麻有)
詳細情報
企業名・団体名 | 有限会社テラヲ貸物店 |
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公式サイト | https://www.terao-rental.com/ |