「J LIFE gifts」 山下 りかさん
今回は、大宮上立売で、新たに組子細工のショールームをオープンされた、「J LIFE gifts」の山下りかさんにお話を伺いました。
組子細工とはどのような技法ですか?
組子細工とは、小さな木片を手作業で組み付けていく日本の伝統技術のひとつです。
釘を使わないため、独特な加工の溝や穴を材料となる全ての木片に施しています。小さな木片を組み合わせてできる模様は,200種類以上にも及びます。
組子細工のショールームをオープンしようと思ったのはなぜですか?
静岡県浜松市の出身なのですが、地元で祖父と父の2人で木工メーカーを営んでおり、組子細工製品の製作をしています。
私は、組子細工をインテリアとしてプロデュースする役割として、京都で「J LIFE gifts」を立ち上げました。
学生時代は京都で、その後東京やオーストラリア暮らしの経験を経て、結婚を機に京都暮らしをしています。ずっとアパート暮らしでしたが、このショールームは家族の協力を得て自宅兼ショールームとして新たにオープンさせる運びとなりました。インターネットや展示会などで見ていただく機会は増えましたが、やはり実際に手に取って目で見てもらえ、お客様と触れ合える場所をつくりたいと思ったからです。
そもそも組子細工のインテリアブランド「J LIFE gifts」を立ち上げようと思ったのはなぜですか?
祖父,父との関係が大きいです。
祖父は16歳の時に職人の道に進み、後に独立して建具屋を立ち上げました。その後、父が事業継承をし、より組子細工に力を入れるようになりました。
当時は襖や欄間などの建具の装飾にその伝統技術を生かしていました。私はそれを幼いころからそばで見て育ち,職人たちの知恵と経験には常に驚かされてきました。ひとつの依頼に対し,常に誠実に向き合い、様々な技術を盛り込むことで、仕上がりイメージを上回る作品が生み出されていました。
そういった技術が世に知られていないことがもったいないと感じていたし、機械化された単純なものではなく、作り手の創作意欲と意見を尊重し,技術と知恵で生み出されたものに、正しい価値をつけていきたい、そう思ったのです。
もちろん、組子細工のインテリアブランドを立ち上げることは簡単ではありませんでした。「伝統産業での事業は厳しすぎるからやめなさい」と父に言われ、説得にとても時間がかかりました。
ですが,住宅環境の変化により、伝統的な建具の一般的な需要が減ってきていることも実感としてあり,家族の重大な決断としてスタートさせました。
今では全員で協力体制をつくり、そして何より家族が応援してくれています。
京都で‘組子細工’は珍しいのでは?
実はそうなんです。伝統工芸には「京〇〇」とつくものが多いですが,組子細工ではあまり聞きません。組子細工の起源は飛鳥時代と言われていて、日本最古の組子細工は法隆寺の金堂にあります。関西では‘さしもの’と呼ばれることが多いと思います。寺社仏閣の建具や和室の意匠で使われることが多く、島根県,富山県などもさかんです。いずれも優れた伝統技術がつまっています。
なぜ西陣でオープンしようと思ったのですか?
西陣でオープンしようと思っていたのではなく、オープンしたら西陣でした(笑)
私は浜松出身でしたので、あまり京都のことをよく知らずに、引っ越してここにショールームをつくるというお話を友人にするたび,「えっ!すごい!西陣に!?」のような反応が多くありました。京都のモノづくりの中心地ともいわれている場所にお店を出すなんて受け入れてもらえるか…だんだん不安になってきて、ドキドキしていました。
不安をぬぐったのは何だったのですか?
まちを散歩していると、都会なのにどこか懐かしい感じがする地域だと思いました。そんな中、最も不安をぬぐったのは「つぎにし」への参加でした。(https://nishizine.city.kyoto.lg.jp/people/people-2903/)
「つぎにし」は、「つぎの西陣をつくる交流会」のことで、西陣で事業を行う人たちが交流し、顔の見える関係をつくり、西陣をクリエイティブなまちにしていこう、という試みです。
「つぎにし」では、幅広いジャンルや年齢の方が参加され、ご自身がものづくりをされている方もおられましたが、ほとんどの方が地域や自分のコミュニティをどう盛り上げていくか、ということに積極的でとても衝撃を受けました。
敷居が高そうというイメージを持っていた西陣ブランドではなく、とてもあたたかい雰囲気で、引っ越しが楽しみになりました。
今後西陣のまちでどのような取組を行っていきたいですか
「日本一フレンドリーな組子屋さんを目指したいです。」
皆さんは組子細工で相談したいと思ったら誰にお話しますか?建具屋さんでしょうか?私は、組子のことで何か相談したいと思ったら、いつでも頼られるような存在になりたいと思っています。組子細工の木の香りの中、お気軽にご相談いただければと思います。
組子細工をしっていただけるように、オーナメントやコースターづくりのワークショップも準備しています。
また、西陣で活躍されるアーティストの方とも作品を通じたコラボレーションも行えればと思います。組子細工を通じて、西陣の文化、生活、人と交わっていき、新たな可能性を広げていければ嬉しいです。
(インタビュアー:be京都 岡元 麻有)
詳細情報
企業名・団体名 | J LIFE gifts |
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公式サイト | https://www.jlife-gifts.jp/ |