季節を巡る京菓子「西陣の洋菓子」
季節を巡る京菓子

クリームが自慢の「シュークリームカフェ オアフ」
金曜日だけオープンする、特別なケーキ屋さん「ガトー・ド・ミエル」
室町時代、茶の湯文化とともに発展した京菓子。京都御所のすぐ近くに位置し、良質な水にも恵まれた西陣エリアには、多くの茶道の家元が集まっています。季節や暦を取り入れた美しい和菓子は、お抹茶との相性も抜群。この地域には、そんな上質な和菓子を楽しめるお店が数多くあります。
そんな和の伝統が根づく西陣ですが、今回は「洋菓子」に注目してみました。
日本の洋菓子文化は、16世紀にポルトガルからカステラやコンペイトウといった「南蛮菓子」が伝わったことから始まります。その後、明治時代に入り西洋文化が本格的に取り入れられると、フランスやドイツの製菓技術も日本に広がり、洋菓子店が各地に誕生しました。
日本人の繊細な味覚や四季を大切にする文化は、洋菓子にも大きな影響を与えました。甘さを控えめにしたり、抹茶やあんこなどの和素材を取り入れたりしながら、日本独自の洋菓子スタイルが生まれていきました。ショートケーキ、ロールケーキ、シュークリームなど、日本ならではの洋菓子が次々に登場し、今や多くの人々に親しまれています。
西洋の技術を取り入れつつも、日本の感性と職人のこだわりが融合したのが、日本の洋菓子の魅力なのです。
実は西陣にはオープンの曜日が限定されているお店や専門店も多いです。ぜひお気に入りのお店を見つけてくださいね。
今回はシュークリーム専門店として看板をあげる「シュークリームカフェ オアフ」と、
金曜日限定でオープンする「ガトー・ド・ミエル」をご紹介します!
■シュークリームカフェ オアフ
「オアフ(OAHU)」は、ハワイ語で「人が集まる場所」という意味を持つ、京都・西陣にあるカフェ&スイーツ店です。2004年にオープンし、2024年に20周年を迎えました。
なぜ西陣に出店したのかを伺うと、「食に厳しい京都、さらにその中でも特に評価が厳しい西陣で認められれば、どこでも通用するはず」との思いからだったそうです。当時、西陣エリアには洋菓子店が少なく、店内でお菓子と一緒にコーヒーや紅茶を楽しめるイートインのお店もほとんどなかったとのこと。新しいもの好きな京都の中でも珍しいスタイルが注目を集めたようです。
店名を「オアフ」と名付けたのも、西陣という伝統的な街並みに、あえて横文字の名前を置くことで「何のお店だろう?」と人々の興味を引きたいという工夫でした。
■オアフのこだわり
オアフの看板商品は、甘さ控えめでまろやかなカスタードクリームを使ったシュークリーム。季節ごとのイベント(バレンタイン、ホワイトデー、ひな祭りなど)に合わせて限定スイーツも展開し、毎月2〜3種類の新作が登場します。ポイントカードもあり、常連さんにも新しいお客さんにも嬉しいサービスです。
■オアフを支える ヨネザワ製菓
オアフの母体である「ヨネザワ製菓株式会社」は、埼玉県入間郡に本社を構える老舗洋菓子メーカーです。1899年(明治32年)に創業し、100年以上にわたりシュークリームやエクレアの製造販売を行ってきました。
当時、日本ではまだ珍しかったシュークリームを、先代社長がフランス人から製法を学び、人々に愛される味へと育て上げました。今も「安心・安全で美味しいスイーツ作り」をモットーに商品を作り続けています。
■西陣本店の魅力
堀川通に面しているオアフ西陣本店にはイートインスペースがあり、店内で焼き上げたスイーツをその場で楽しむことができます。商品はすべて本店地下の工房で、手作業で丁寧に作られています(一部の焼菓子などは本社工場で製造)。
特別なものではない、日常で親しまれる味を追求しています。
最近では、スイーツ系インスタグラマー「miiiin_kyoto」さんとのコラボイベントも実施。地元企業とのコラボスイーツも検討中とのことで、地域とのつながりを大切にしながら、新しい取り組みにも積極的です。
オアフは、スイーツを通じて人が集い、新しいアイデアが生まれる場所として、これからも進化を続けていきます。
■オアフのオススメ商品
4月後半~
和栗のモンブラン/いちごエクレア/レアチーズロール*20周年記念復刻ロール
5月初旬~
ワンダフルシュー*生クリームで犬の顔を再現したシュークリーム
熊シュー(仮名)*生クリームで熊の顔を再現したシュークリーム
キャラメルロール*20周年記念復刻ロール
ぜひ20周年のお祝いに足を運んでみてくださいね。
続いてご紹介するのは、金曜日限定で営業している人気店「ガトー・ド・ミエル」です。
■ ガトー・ド・ミエル
お店は、お客さんが2人入るといっぱいになるほどの小さくてかわいらしい空間。ショーケースには、丁寧に作られたケーキやタルトが美しく並び、朝から行列ができるほどの人気ぶりです。
中でも特に人気なのが「極楽チーズケーキ」。香ばしいタルト生地の上に、こだわりのチーズクリームを流し入れ、低温でじっくりと焼き上げた、濃厚なニューヨークスタイルのチーズケーキです。
この他にも、旬の素材を使ったタルトや、何層にもクレープを重ねたミルクレープ、サクサク食感のクッキーなど、どれもおすすめの逸品ばかりです。
■ お店のはじまりと名前の由来
「ガトー・ド・ミエル」は、上賀茂神社の手作り市への出店からスタートし、2009年に西陣に店舗を構えました。お店の名前は、パティシエの濱田美江さんのお名前にちなんで名付けられています。
■ 「おやつの時間」に寄り添うお菓子を
子どもの頃からお菓子が大好きだったという濱田さん。
「自分が好きなもの、食べたいと思うものを作っています。おやつの時間や、ちょっと疲れたとき、ふと『また食べたいな』と思い出してもらえるようなお菓子を目指しています。」
素材選びにもこだわりがあり、「自分が美味しいと思うバターを使い、その風味や食感をいかしたクッキー作りをしています。目指しているのは、シンプルに“おいしい!”と思ってもらえること」と語ってくれました。その想いは、お菓子の味からも、濱田さんの人柄からも伝わってきます。
■ 西陣の魅力と、つながるご縁
西陣の魅力は、路地裏などに点在する“隠れ家”のようなお店が多いこと。「ガトー・ド・ミエル」も、ふと立ち寄ったお客様が、そのおいしさに感動して「また来ました」「プレゼントにしたい」と再訪してくれることも多いそうです。
そんな素敵なご縁がつながっていくのも、西陣という町のあたたかさかもしれません。
■ 今後も「ちょうどいいペース」で
「営業日を増やしてほしい」という声も多い中で、
「自分の手が届く範囲で、納得のいくものを作り続けたい」という濱田さん。
これからも金曜日が待ち遠しくなるような、そんなお菓子を届けてくれることでしょう。
■ ガトー・ド・ミエル 〜4月後半のおすすめ〜
- アップルクランブルタルト
- 焼き檸檬タルト
- ダークチェリーのチーズタルト
- 焼き苺のタルト
- キャラメルクリームタルト
どれも素材のおいしさが光る、魅力的なスイーツばかりです。金曜日、西陣へ足を運んでみてはいかがでしょうか?
Special Thanks
シュークリームカフェ オアフ
住所 〒602-0055 京都市上京区堀川今出川上る東側(堀川今出川上る、堀川病院南側 )
TEL/FAX: 075-414-1282
営業時間: 10:30~18:30 不定休
URL https://oahu.co.jp/
Gateau-de-miel ガトー・ド・ミエル
Gateau-de-miel ガトー・ド・ミエル
住所 〒602-0005 京都市上京区寺ノ内通り新町西入る妙顕寺前町499
TEL 075-874-7973
営業時間 毎週金曜日 10:30〜OPEN 売り切れ次第終了
URL インスタ https://www.instagram.com/gateau_de_miel/?hl=ja
Editor
岡元麻有
Art Gallery be京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。