コラム 季節を巡る京菓子「若手とベテラン菓子職人が創作する、限定販売の二十四節気菓子」
季節を巡る京菓子
二十四節気をテーマにした和菓子が俵屋吉富烏丸店限定で販売されているのをご存知でしょうか。新型コロナウィルス感染拡大が続く中、若い職人に技術継承と創作機会を作る為、昨年2021年9月から始めた新しい取組です。
二十四節気とは、1年を太陽の動きに合わせて24に分け、季節を表したもので、古代中国から日本に伝わりました。季節の移り変わりを感じる大切な目安となっています。そんな折々の季節の中で育まれ伝わってきた、素晴らしい日本の世界を和菓子で表現されています。
繁忙期を除いた毎月一日(ついたち)に、俵屋吉富烏丸店限定で販売しています。若い職人から提案される斬新なデザイン等を、ベテラン職人がどのように和菓子で表現するか、作るかなどを考え、ともに完成させていきます。時に、若手が考えた製法は手間がかかるけれど、その方がかわいらしく表現できるなど、ベテラン職人が気が付くこともあるそうです。このように若手とベテランが一緒に考え作ることにより、現場では相乗効果が見られているようです。
さらに、二十四節気菓子を作る中で、軽羹(かるかん)など日頃作る機会が少ない種類の菓子を作ることについても、技術継承をする貴重な機会となっています。
二十四節気に因んだ、小さく愛らしい生菓子5種類です。
6月の二十四節気は2つあり、ひとつは「芒種(ぼうしゅ)」、もうひとつは「夏至(げし)」です。
「芒種(ぼうしゅ)」は6月6日~20日頃で、稲や麦など穂の出る、芒(のぎ)ある穀物の種をまく季節です。芒(のぎ)とは稲の穂先にある針のような突起をさします。
「夏至(げし)」は6月21日~7月6日頃で、1年の内で昼の時間がもっとも長く、夜の時間がもっとも短いとき。この日を境に次第に昼の時間が短くなっていきます。
徐々に気温があがり、雨が多い季節です。
6月1日に販売される「四季の京菓子 二十四節気―かいらし、おかし」はこちらです。季節と暦が表現されており、かわいくて、それでいて上品です。
【菓子について職人さんからのお話】
=芒種(ぼうしゅ)=
○草蛍(くさほたる)
蛍は、綺麗な水辺に住んでいるイメージですが、草地(野原)でも草の下で明かりを灯します。蛍をゴマで、草地は、小田巻というお道具で、こなし生地を糸状に搾り出して、表現しました。
○あじさい
紫陽花は、六月の花、梅雨の花とも言います。七十二候の梅子黄(うめのみきばむ)に因んで、紫陽花の雨の雫を、梅風味の錦玉羹(きんぎょくかん)で表現しました。梅雨という言葉は、ウメの実が熟す頃の雨と言われています。
=夏至(げし)=
○半夏生(はんげしょうず)
関西では、田植えが終わった頃の半夏生にたこを食べる習慣があり、稲の根がたこの足のように根付いてほしいと祈願するそうです。田植えは夏至の後、半夏生に入る前に終わらせるのが農作業の目安とされています。
○菖蒲華(あやめはなさく)
アヤメが花を咲かせる頃。アヤメが咲くと梅雨到来と言われています。
○夏越の祓(なごしのはらえ)
六月末日(晦日)は、12月の大晦日と同じく大祓の日。この日は各地の神社で夏越の祓が行われ、茅草で作った輪をくぐる、茅の輪くぐりが行われます。錦玉の中に、茅の輪に見立てた羊羹、水無月をイメージした小豆と三角形の白餡が入っています。
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こちらのお菓子は6月1日(水)限定で、俵屋吉富烏丸店で販売されます。次回は8月1日(月)の予定です。(7月はお休み)
事前予約制で、ご予約は5月28日(土)迄となっております。販売価格は1,728円(税込)です。ご予約なしでも僅かですが、店頭にて購入が可能です。無くなり次第終了となりますので、早めの来店がおすすめです。
オンラインショップからもご予約可能です。
ご予約後は、当日に烏丸店の営業時間内(9時~17時)にご来店いただく形です。
※発送は致しかねますので、予めご了承ください。
直営店として、西陣・今出川界隈には本店・烏丸店・小川店の3店舗あります。今回ご紹介した二十四節気のお菓子は、京都の表通りである烏丸通りに面する烏丸店のみの取り扱いですのでご注意ください。烏丸店の北隣には京菓子資料館もあり、京菓子好きにはたまらない空間です。本店の落ち着いた空間、小川店の上質な空間もおすすめです。
Special Thanks
京菓子司 俵屋吉富 烏丸店
〒602-0029 京都市上京区室町通上立売上ル
Tel 075-432-3101
https://kyogashi.co.jp/
Editor
岡元麻有
Art Gallery be 京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe 京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。