NISHIJIN TODAY西陣のコラム

春色に染まる西陣-桜の名所をご案内
西陣を彩る花や植物

風格漂う神社仏閣に、古き良き京町家の佇まい。京の食や伝統文化を支えてきた老舗の数々…。静かな町並みをぐるりと巡れば、そこかしこに歴史の息づかいがきこえてくる西陣。新しい感性を程よく取り込んで、人々を魅了し続けているまちです。

そんな西陣には桜の名所がたくさんあります。春色に染まる西陣を楽しみましょう。

■堀川通・一条戻り橋の河津桜

早咲きの桜として人気を誇る一条戻り橋の河津桜。堀川今出川交差点から堀川通を少し南に下がったところに位置し、近くには晴明神社があります。手の届きそうな高さにあり、こぼれそうなほど見事に咲く桜は、道行く人の足をとめます。2023年は3月初旬から開花し、20日前後には満開を迎えていました。

▲堀川出水橋(2023.3.31撮影)

堀川通には出水橋の付近にもこんなにかわいい桜が。少しずつ時期をずらして楽しませてくれるので、毎日飽きることがありません。

■モダン建築との共演・京都府庁の桜

京都府庁では例年3月末から4月中旬にかけて観桜祭が開催され、旧本館中庭が公開されます。「祇園しだれ桜」や「容保桜(かたもりさくら)」など6種7本の桜が明治期の建物を背景に咲き誇る様子は見事です。

■歴史に想いを馳せて-百々橋から妙顕寺、本法寺界隈

応仁の乱(1467~1477)の戦場として細川勝元(東軍)と山名宗全(西軍)の両軍が数度にわたる激戦を繰り広げた、「百々橋(どどばし)」の疎石の一つが残る場所にも桜が咲いています。百々橋から本法寺、妙顕寺、妙覚寺への散策も、静かな町の雰囲気に堂々と桜が咲き誇り気持ちが良いです。町並みも楽しみながら老舗の和菓子店でお茶を一服するのはいかがでしょうか。

長谷川等伯と縁が深い本法寺では、「令和6年 春季特別寺宝展 大涅槃図開帳 波龍図公開 長谷川等伯」が開催されています。この期間だけ長谷川等伯の正筆をみることができます。
(春季特別寺宝展 日程:2024年3月14日(木)~4月15日(月))

日蓮宗の大本山で豊臣秀吉が常宿としていた妙顕寺は桜も紅葉も美しいです。2024年は3月23日(土)~4月7日(日)に特別公開が行われ、夜間ライトアップもあります。広い敷地のあちらこちらで桜が咲き、驚くほど贅沢でゆったりとした時間が流れ、心が落ち着きます。隠れた名所と言えるのではないでしょうか。

■見事なしだれ桜-京都御苑、大報恩寺(千本釈迦堂)、水火天満宮、本満寺

▲京都御苑(2023年3月16日撮影)

京都御苑は、京都でも有数のお花見スポットとして多くの人が集まり思い思いの時間を過ごしています。近衞邸跡や出水の小川のしだれ桜がほころぶと、桜のシーズンが始まったといえます。

しだれ桜に続き、山桜や八重紅しだれ桜、大島桜、里桜(車返桜や御衣黄など、園芸品種の総称)などが咲き、5月上旬まで様々な種類の桜を楽しむことができます。

大報恩寺(千本釈迦堂)は、鎌倉時代の承久3年(1221)に義空が開いた真言宗智山派の仏教寺院で、千本釈迦堂とも称される長い歴史を持つ由緒あるお寺です。本堂は、幾多の戦火を免れ、800年近く経った今も当時のまま残る京都市内(京洛)最古の木造建造物として国宝に指定されています。

境内のしだれ桜は「おかめ桜」と名がついています。全国のおかめ信仰の発祥でもあり、ふくよかな笑顔で明るい印象のおかめですが、夫のピンチを救いながらも自害した悲話の主人公でもあります。おかめのように、助け合う円満な夫婦であり続けたいという強い思いから、“縁結び” “夫婦円満” “子授け” にご利益があると言われています。

水火天満宮はとても小さい境内ですが、空から覆いかぶさるように紅しだれ桜が咲いています。

京都有数の美しい樹形を誇る、本満寺のしだれ桜も見事。大きなお寺や神社でなくても、大切に守られている桜の姿は、見る人の心を放しません。

■西陣の桜の楽しみ方

現在は花見と言えば桜の花を見ることですが、奈良時代の和歌では、花と言えば「梅」のことでした。平安時代から桜の美しさが知られるようになったそうです。立春を過ぎると梅の香りに包まれ、桜や桃など春の花を存分に満喫できる西陣。桜の名所は日本中たくさんありますが、西陣の桜は周辺の環境と調和し、それぞれの楽しみ方ができるのが魅力だと思います。ゆったり静かに楽しみたい方が西陣にはあっているように感じます。

また、桜の花の命は短いですが、花びらが散りゆく儚さ、散った花が水に浮かぶ花筏(はないかだ)、そして散った後には葉桜を楽しむことができます。

人々を夢中にさせる桜。「知る人ぞ知る」がたくさんつまった西陣の桜を愛でに、ぜひ足を運んでみてください。

Special Thanks

写真:be京都フォトクラブ写真

写真:be京都フォトクラブ

Editor

岡元麻有写真

岡元麻有

Art Gallery be京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。

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