西陣で楽しむ菊や栗―「重陽(ちょうよう)の節句」
西陣に学ぶ traditional culture, art, history and technology.
◆重陽の節句とは
旧暦9月9日(新暦10月23日)は、五節句のうちのひとつ「重陽(ちょうよう)の節句」です。
五節句は、同じ奇数が重なる5つの日のこと。古来、陽(奇数)が重なる日は、めでたい反面、陰が生じやすいとされ、節句の日には邪気祓いの行事が行われてきました。1月7日(人日)、3月3日(上巳)、5月5日(端午)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽)を五節句と言います。
京都では市比賣神社の重陽祭、法輪寺の重陽の節会、上賀茂神社では烏相撲が奉納され、親しまれています。
◆菊の力で延命長寿を願う
重陽の節句は、「菊の節句」「重九(ちょうく)の節句」「九月節句」「栗の節句」ともよばれています。
菊の成分を含んだ水を飲み不老不死となった「菊慈童(きくじどう)伝説」をはじめ、中国の故事から、菊は優れた薬効成分がある延命長寿の植物として知られていました。それが日本に伝わり、平安時代の宮中では、「菊花の宴」が催され、菊酒を飲み、茱萸袋(しゅゆぶくろ)を飾り、菊に綿をかぶせる「着せ綿(きせわた)」を楽しみ、延命長寿を祈ったそうです。
百歳雛という、ともに白髪となったおめでたい人形も江戸時代から健康と長寿を祝う人形とされてきました。現在は還暦や米寿のお祝いとして喜ばれるだけでなく、「後の雛(のちのひな)」という風習でも飾られています。後の雛とは、上巳の節句(ひな祭り)で飾ったひな人形を、半年後の重陽の節句で虫干しを兼ねて再び飾り、不老長寿、厄除けなどを願う風習で、江戸時代に庶民に広がったとされています。
◆重陽の節句には何を食べる?
節句の中ではやや馴染みが少ない重陽の節句ですが、菊の生け花、菊を添えた食べ物、菊の文様の器など、菊にまつわるものを組み合わせて、長寿を祈り、健康で幸せな日々が続くことを願いながら重陽の節句を楽しみましょう。
京料理や和菓子店でも栗や菊、着せ綿を模した菓子など、様々なシーンで重陽を感じることができます。
創業35年、2019年11月に西陣に移転された『斎 阿うん』では、松茸と菊菜の和え物、蕪を菊の大輪に見立てた椀物、栗ご飯など菊や栗を満喫できる重陽の節句膳が提供されます。季節を感じさせる器も素敵です。
▲八寸 汲み上げ湯葉、鱧寿司、油揚げとずいき煮、無花果とモロヘイヤの辛子和え、松茸と菊菜の和え物、里芋田楽
椀物では、蕪が大輪の菊の花を咲かせました。
秋を満喫できる新秋刀魚幽庵焼き、茄子と胡瓜ゴーヤ和え、揚げ出しなど。美しい器とともに味わいます。
「西陣の方は初節句、七五三、お誕生日、ご法事など、ご家族連れでお越しになられることも多く、節目を大切にされていると感じます。」とオーナーの服部さんは言われます。
そんなあたたかい町で、美味しいお料理を、木のぬくもりを感じるゆったりとしたしつらえの中で楽しむことができます。
ランチタイム限定ですが「にしZINE」を見て、重陽の節句膳をご予約いただいた方には、5%オフのサービスも。詳しくは斎 阿うんへお問い合わせください。
お話も楽しく、ついつい長居してしまいます。ぜひ足をお運びください。
Special Thanks
西陣 斎 阿うん
〒604-8414
上京区堀川寺之内半丁下ル西入西北小路町452
TEL:075-205-4320
営業時間:11:30-14:30、17:30-22:00
定休日:不定火曜日、お問い合わせください。
URL:http://www.sei-aun.com/
Editor
be京都 岡元麻有
Art Gallery be 京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe 京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。