NISHIJIN TODAY西陣のコラム

京都・西陣のクラフトビールが面白い!
西陣に学ぶ traditional culture, art, history and technology.

京都のお酒といえば、日本酒もおすすめですが、今、クラフトビールが面白い!
日本では1994年に、マイクロブリュワリー(小規模醸造所)でのビール作りが可能になり、以降京都のクラフトビールシーンも進化を遂げています。

美味しいのはもちろん、より地域性や生産者に特化したオリジナリティあるビールが多数生まれています。
西陣にもタップルーム(樽生が飲める場所)併設のブリュワリーがあります。

■ウッドミルブルワリー・京都
ウッドミルブルワリー・京都は、京都市上京区にあるマイクロブリュワリーです。醸造開始は2018年3月。京都で生まれ育った辻本大和さんが、「食事と楽しむビール」というコンセプトでビールを醸造しています。
週末には醸造所内の一部を開放して、5種類の樽生クラフトビールが楽しめるタップルームをOPENしています。

地域の飲食店とコラボした、おつまみ一品も販売していて、このセンスがまたなんとも言えず、クラフトビールにぴったりでおいしいです。

ブルワリーの所在地は、上京区の「挽木町(ひきぎちょう)」。ブルワリー名の「ウッドミル」は、この地域名にちなんだ「ミル」(挽く)と「ウッド」(木)から名付けられており、地元に深く根ざした存在でありたいという想いが込められています。

なるほど、地元の方も気軽に足を運んでいて、お子様連れの方も週末のひとときを一緒に楽しんでいました。ソフトドリンク・おつまみなど、食べ物類は持ち込み自由なのも嬉しいです。(先日はお客さまが宅配ピザをデリバリーされていました!)

※ 営業日、クラフトビールのラインナップと提供されるおつまみ一品につきましては、Webサイト・Facebook・Instagramにてご確認ください。

■西陣麦酒
西陣麦酒(にしじんばくしゅ)は2017年に京都西陣で生まれたクラフトビール醸造所です。
障がい福祉事業を行う社会福祉法人菊鉾会ヒーローズが運営しており、2023年7月からは築140年の京町家をリノベーションしたクラフトビール醸造所にて、工場見学と西陣麦酒の出来立ての生ビールを楽しんでいただくことが出来ます。

「至福の一杯」という“Well Beer(ウェル・ビーア)” と、心も身体も、社会的にも良好な状態にあることを示す“Well Being(ウェルビーイング)”を合わせて生まれたWELL-BEERING(ウェルビアリング)というコンセプトもとても素敵です。

西陣麦酒の定番銘柄は、「柚子無碍(ゆうずうむげ)」「白夜にレモンエール」「Silky Weizen(シルキーヴァイツェン)」「室町セゾン」「Sweet Ginger Ale(スウィートジンジャーエール)」の計5種類です。麦芽やホップは海外産を使用し、国産の麦芽やホップを使った限定醸造ビールも生産しています。

また、さまざまな人と連携をしたビールづくりをテーマに自閉症の方を始め、大学や企業と連携したビールづくりも進めており、その一環として麦芽やホップの生産から障がい者が携わる「農福連携クラフトビール」を増産していく計画だとか。ますます興味がわきますね!

多様なビールを多様な仲間とつくり、楽しめる…京都西陣に面白い場所がまたひとつ増えました。

■Bighand Bros. Beer

2023年にオープンしたBighand Bros. Beer(ビッグハンド ブロス ビアー=通称:BBB)は京都西陣、智恵光院のMarble BLDG. 地下1階にあります。マーブルはコーヒーの焙煎所、カフェ、インテリアショップといった食や暮らしにまつわる店舗が集まる空間です。

Marble BLDG.の地下の醸造所のさらに奥、低いレンガのアーチをくぐると小さなタップルームがあります。醸造されたばかりのフレッシュなビールをゆっくりと楽しむことができます。定番のビールと限定醸造のビールが常に6種類ラインナップされています。

日本人が長く親しんできたビールは、100以上もあるビールスタイルのたった1つにすぎません。コーヒーにも様々な香りや味わいがあるように、ビールにも様々な香りがあり、楽しみ方があります。だからこそ、カフェやコーヒー専門店を開発してきたマーブルがクラフトビールを手掛けた、というわけです。

Bighand Bros. Beerのヘッドブリューワーは、イギリスでの醸造修行を経て西陣でビールづくりに取り組んでいます。イギリススタイルをベースにしつつ、既存のスタイルにとらわれない材料選びや醸造方法にチャレンジしながら、ビールを生み出しています。

食事にもスイーツにも相性抜群な、毎日を豊かにするビールは、上階のcafe marbleでも飲むことができます。ビル全体で飲食を楽しめるマーブルならではの視点がまた面白いですね。

また、BBBのビールには、鉱石の名称がつけられています。
モグラの兄弟が地下を採掘して掘り当てた、宝石のような輝きを放つ極上の一杯、ここでしか出会えない貴重な一杯をイメージしています。500ml缶の販売も行っています。

■山岡酒店

山岡酒店は昭和初期から営業している西陣の酒屋さんです。クラフトビールの取材を進めていた際に、「’クラフトビールの聖地‘と呼ばれる山岡酒店さんを取材されましたか?」と、業界関係者の方からおすすめいただきました!そんな信頼度の高い酒屋さんです。

地元京都の新鮮野菜も販売していて、見た目は少し八百屋さんのような店内には、日本各地のクラフトビールが常時250種類ほど取り揃えられています。(輸入ビールを合わせると300種類ほど。)季節限定や入れ替わりが多いため、年間あたり何種類になるかわからないほど多種多様です。

お客様の好みや苦手な風味、合わせる料理や気候に合わせておすすめを選んでくれるといいます。種類が多種多様だからこそ、今までに出会ったことがない新しいビールに挑戦することもできます。

もちろん、今回のコラムでご紹介している西陣のクラフトビールは全て取扱いがあります。

ご紹介した通り、西陣には3か所のクラフトビール醸造所があります。
日本中でクラフトビール醸造所は700か所ほどあるそうで、人口18万人に1か所くらいの計算ですから、西陣に3か所の醸造所があるのは、ずいぶん多いです。

近年増えているクラフトビール醸造所はブルワリーパブと呼ばれ、飲食店と醸造所が一体で、そこで造ったビールをそのお店で飲み切るという形態です。当然、立地は飲食店街の近辺ですが、西陣に大きな飲食店街はありません。また、クラフトビール醸造所は観光地に造られることが多かったのですが、西陣は観光名所が多数あるとはいえ、観光客が溢れるような場所でもありません。
そんな西陣にクラフトビール醸造所ができた理由のひとつに、西陣が長い歴史の中で、西陣織を中心とした様々な産業を生み出してきたことが挙げられるのではないかとヒントをいただきました。
なるほど、西陣にはクラフトマンシップの精神が根付き、文化があるからこそ、新しい挑戦を柔軟に受け入れ共に成長することができるのかもしれません。

山岡酒店は小売販売店ですので、お客様はその場で味わうことはできませんが、選ぶ楽しさ、迷う喜びもお店の陳列棚の前で堪能できます。ぜひクラフトビールの楽しさを味わってください。

いずれも京都西陣のまちなかにあります。
生活空間たっぷりの場所にあるため、マナーを守ってお楽しみください。

Special Thanks

ウッドミルブルワリー・京都写真

ウッドミルブルワリー・京都

〒602-0065
上京区上立売通小川東入上る挽木町528番地
TEL 075-406-1463
URL:https://woodmill-brewery.kyoto/
Facebook:https://www.facebook.com/WoodmillBreweryKyoto
Instagram:https://www.instagram.com/woodmillbrewery.kyoto/
物販:毎週金曜日11:00~18:00
タップルーム:毎週土曜日・日曜日11:00~16:30(L.O.)/17:00(CLOSE)
定休日:第1土曜日・日曜日
※臨時休業の場合があります。Webサイト・SNSにてご確認ください。

西陣麦酒写真

西陣麦酒

〒602-8442
上京区大宮通今出川下る薬師町234
社会福祉法人 菊鉾会 ヒーローズ内
URL:https://nishijin-beer.com/
営業時間:金曜日17:00〜21:00、土曜日14:00〜21:00

Bighand Bros. Beer CHIEKOUIN (Brewery / Taproom)写真

Bighand Bros. Beer CHIEKOUIN (Brewery / Taproom)

〒602-8453
上京区笹屋町通智恵光院西入ル笹屋町1-519 Marble BLDG.
営業時間:11:30〜17:00 
定休日:月曜日・火曜日
URL:https://www.bighandbros.com/
Instagram:https://www.instagram.com/bighandbros/
Marble BLDG.:https://marble-bldg.com/

山岡酒店写真

山岡酒店

〒602-8475
上京区千本今出川上る西側牡丹鉾町555
TEL:075-461-4772
営業時間9:00~20:00
定休日:日曜日(祝日は営業しています)
URL:https://www.yamaokasake.com/

Editor

be京都 岡元麻有写真

be京都 岡元麻有

Art Gallery be 京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe 京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。

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