NISHIJIN TODAY西陣のコラム

京都の暮らしとともに―「お火焚き万寿」と「お赤飯」
季節を巡る京菓子

お火焚き(おひたき)は江戸時代から人々に親しまれてきた冬の火祭です。
その起こりは、宮中で12月中旬に行われる御神楽(みかぐら)をならったものと言われます。
また、収穫への感謝をする新嘗祭(にいなめさい)、火を使う道具への感謝をするふいご祭りとも関係すると言われます。

お火焚きは神社によって異なりますが、多くは、11月に家内安全、家族円満などの願いを書き入れた護摩木(火焚串)などが、焚き上げられ、奉納された願い事が叶うように、神職が大祝詞を奏上します。湯立て神楽の舞が奉納されるなど、京都の風物詩のひとつとなっています。

3連の炎の焼印が特徴「お火焚き万寿(まんじゅう)」

そして、お火焚きのころになると、京都の和菓子店や餅屋に登場するのが、「お火焚き饅頭」というお菓子。みかんやおこしなどと一緒にお供えされます。
「お火焚き饅頭」には、炎が3つ連なった大きな火炎宝珠(かえんほうじゅ)の焼印が押されており、厄除け招福の願いが込められています。

下立売堀川にある鳴海餅本店でも「お火焚き万寿」が販売されています。饅頭は「万寿」と書き、同じ読みですが、万(よろず)の寿(ことぶき)をともに願います。
鳴海餅は明治8年(1875年)創業で、お餅、お赤飯、和菓子を製造販売しています。

厳選されたもち米「佐賀県産ヒヨクモチ」と、最高級品種「丹波大納言小豆」を使い、様々な人生の節目に寄り添ってきました。京都の年中行事、暮らしと密接に関わり、鳴海餅は地域の方にとって、なくてはならない存在です。

鳴海餅本店の鳴海力哉さんに店内でお話を伺いましたが、その間もひっきりなしにお客様が来店されていました。店内はもち米と小豆が蒸された良いかおりに包まれており、イートインも可能です。
10月末までは季節限定の栗赤飯が販売されています。「ナルミの栗赤飯」はこの季節の風物詩のひとつだと言えるでしょう。

近年、鳴海餅本店では、アニメとのコラボレーションをすることにより、若い世代の来店数も増えているそうです。時代の変化とともに、京都市内にたくさんあった「餅屋」が減少している中、鳴海餅本店の想いと取組に、期待が膨らみました。

これから年末に向けて、鳴海餅本店では1年の中でもっとも忙しい時がやってきます。

▲鏡餅

 

Special Thanks

鳴海餅本店写真

鳴海餅本店

京都市上京区下立売通堀川西入西橋詰町283番地
https://www.narumi-mochi.jp
交通:「堀川下立売バス停」下車徒歩1分 / 二条城下車 堀川通を北へ徒歩5分
TEL:075-841-3080
営業時間:8:30~17:00
定休日:祭事等により変更ありますのでお問い合わせ下さい。

▼イートインスペース
営業時間:9:30~16:00(L.O 15:30)
定休日:毎週月曜・火曜(祝日の場合はその翌日)

Editor

岡元麻有写真

岡元麻有

Art Gallery be 京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe 京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。

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