NISHIJIN TODAY西陣のコラム

季節を巡る京菓子 七夕に願いをこめてー。
季節を巡る京菓子

中国で裁縫や習字の上達を祈る行事「乞巧奠(きっこうでん)」が日本に伝わり、旧暦七月七日「七夕の節句」となりました。西陣でも北野天満宮の「七夕祭(棚機(たなばた)祭)」、今宮神社の「織姫社七夕祭」、白峯神宮の「七夕小町をどり」など、機織りの町・西陣らしい七夕に縁がある神事や奉納が行われています。

七夕の節句では、他には梶の葉に願いを書く「梶の葉流し」や「梶の葉笹飾り」、秋の七草を扇のように束ねた「七夕花扇」などがあり、地域でも伝承されています。

■七夕菓子「索餅(さくへい)」を今宮神社の祭礼「織姫社七夕祭」に献菓

千本通今出川に店舗を構える京菓子司 千本玉壽軒では京菓子司 塩芳軒と一緒に、数年前から今宮神社の「織姫社七夕祭」に、「索餅(さくへい)」を献菓しています。「索餅(さくへい)」は縄のように捻じった形で、病除け、厄除けを願う菓子です。素麺の原型ともいわれています。レシピはそれぞれ違うそうですが、千本玉壽軒ではういろう製。白い部分はほのかな甘みと、淡い茶色い部分はほのかにニッキの風味がします。

今宮神社の「織姫社七夕祭」は西陣の業祖神である織姫大神に感謝を捧げる祭です。
織姫の神と西陣の人々がひとつになって西陣をつくり上げてきたことを象徴する祭として、地域の方が心を重ねてゆかれています。

西陣にはたくさんの和菓子店がありますが、地域の行事は地域でも応援されており、あたたかい気持ちになります。そして、菓子とかかわりが深い、宮中行事、茶道、寺社仏閣で大切にしてこられた儀式や文化から着想を得て、新たな菓子の楽しみ方を提案されています。

なお、「索餅(さくへい)」は通常販売は行っておりませんが、いずれの店舗でもご予約の上お求めいただくことが出来ます。7月頃からご予約可能ですので、旧暦の七夕(8月初旬)に楽しまれてはいかがでしょうか。古来から伝わる行事を再認識し、現代の生活に取り入れてみるのもよいでしょう。

■季節限定の美しい「天の川」


千本玉壽軒は「本家玉壽軒」で修行を積んだ先代が、昭和13年に独立し、かつて本家があった発祥の地で創業しました。

木のぬくもりを感じる優しい店内では、お店の方がいつも優しく丁寧に迎えてくださいます。


そんな千本玉壽軒のおすすめはこの時期限定の「天の川」です。夜空をイメージした美しい青色の葛にこし餡が包まれており、さらにそれを透明な葛で包んでいます。金色に輝く星空が流れるように浮かんでいます。
古来、京都の賀茂川や桂川は天の川に通じると信じられていたそうです。七月七日の七夕の夜に、織姫と彦星が出会えそうな素敵な和菓子です。店頭販売は7月末までを予定しています。


■季節の和菓子を目の前でー茶寮SENTAMA


2020年10月にオープンされた茶寮SENTAMAは、千本玉壽軒の北側。

千本玉壽軒の和菓子職人が目の前で生菓子をつくり、お好きなお茶碗でお抹茶がいただけます。

「食べてくれる方の表情や率直な感想を伺うことは、職人の勉強にもなります。」と代表取締役の元島真弥さん。店内は靴を脱いで2階へあがるのですが、さりげなく飾られている清潔感と優しいしつらえがとても心地よかったです。ぜひ西陣散策の際は、一服いかがでしょうか。

 

Special Thanks

千本玉壽軒写真

千本玉壽軒

602-8474 京都府京都市上京区 今出川上る上善寺町96
http://sentama.co.jp/
交通:市バス「千本今出川」下車徒歩1分
電話番号:075-461-0796
営業時間:8:30~17:00
定休日:水曜日

茶寮SENTAMA写真

茶寮SENTAMA

電話番号:075-461-5747
営業時間: 10:00~16:30(L.O.16:00)
定休日 水曜日

Editor

岡元麻有写真

岡元麻有

Art Gallery be 京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe 京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。

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