NISHIJIN TODAY西陣のコラム

自然の神秘『黒竹』開花
西陣を彩る花や植物

いけばな嵯峨御流 石川利佳甫先生よりぜひ7月におすすめしたい情報がある!ということで、「竹」について教えていただきました。

7月の行事といえば、西陣ではやはり「七夕」ではないでしょうか。
西陣織会館では、西陣呼称555周年を記念して、「にしじん七夕まつり」が開催されるなど、地域でも楽しみのイベントが盛りだくさんです。
https://nishizine.city.kyoto.lg.jp/event/event-5791/
(7月8日(金)~7月9日(土)17:00~20:00)

出町桝形商店街では今年も巨大な七夕飾りがアーケードを彩っています。近隣の幼稚園・保育園に通う子どもたちの短冊飾りも夢いっぱいで楽しいです。商店街の方にお話を伺ったところ、商店街の七夕行事は昭和45年頃から始まりました。もともとは商店街とお客様の親睦のために企画され、お店の方は自分のお店の商品以外で夜店をされたそうです。(例えば時計屋さんが飲み物を販売するなど。)今は地元の消防団や神輿会の方たちも出店され、地域交流の場として大切な役割を担っています。


こうして出町名物となった「七夕夜店」は地域でも大変盛り上がります。コロナの影響で見送られてきた七夕夜店ですが、今年は、2年ぶりに「京に夏をつげる!出町名物七夕夜店1/2」と題し、例年の半分の規模となる河原町アーケードのみで開催されることになりました。(7月8日(金)・9日(土)18:30~)


七夕飾りは7月11日(月)まで楽しむことができます。

さて、そんな出町桝形商店街の近くでもう一つ面白い「竹」の状態を見ることができます。本満寺の「黒竹(くろちく)」の開花です。

稲穂のような形状が枝一面について、黒い幹に黄色い花が浮き上がって見えます。

「黒竹」はイネ科のため花びらはありませんが、小穂(しょうすい)と呼ばれる鳥のくちばしのようなふくらみから、おしべ等が出ています。

▲ぶら下がって見える部分が「おしべ」

一般的に「竹」の花は六十年から百二十年に一度しか開花しないといわれ、しかも花を付けると地上部の竹は全て枯死するという不思議な植物です。また、同じ種類の竹が大体同じ頃に花をつけるようで、この何年間の間に各地で「黒竹」の開花が報告されています。まさに自然の神秘と言えます。

残念ながらこの不思議な現象に、研究者も一生の間に何度も出会えるわけではないので研究が余り進んでいないそうです。

昔は竹林が一斉に枯れるので、不吉だとか、地震の前触れだとか思われたようです。ですが、これは「竹」にとっては思いきった世代交代でもあるのです。地下茎で繋がったひとつの株が枯れた後、開花の際に出来た種により発芽した株が誕生するからです。


その生命力にあやかるためか、竹の種を持つと縁起が良いとも言われています。

福島の民謡にも「会津磐梯山(あいづばんだいさん)は宝の山よ 笹に黄金がなりさがる・・・」とあります。古くは「竹」や「笹」の種実が、食用として人の助けになっていたからです。

一生に一度の出逢いになるかもしれませんので、雨上がりのお散歩にでも是非ご覧いただきたいと思います。

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Special Thanks

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石川利佳甫先生

上京区在住。華道嵯峨御流 総司所教授
be京都こどもいけばな教室(文化庁)特別講師
御霊神社いちはつの会

Editor

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岡元麻有

Art Gallery be 京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe 京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。

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