NISHIJIN TODAY西陣のコラム

まち全体がアート。西陣界隈の近代モダニズム建築―①
西陣の意匠

西陣は、明確に境界が定められた行政区ではなく、広く京都市北西部の西陣織を営む地域、公家文化が残る地域をさします。西陣の名の由来は、応仁の乱で、山名宗全率いる西軍がこの地に陣を構えたことによります。その後、西陣織が栄えたことから、職住一体の町家も多く、知恵と美意識が詰まっているまちです。時代の変化に、しなやかに対応してきた西陣だからこそ、西洋建築、近代建築も見事にマッチ。なるほど西陣織も、明治以降普及したジャカード織り、西洋デザインの影響を受けています。

・西陣の近代モダン建築
西陣周辺には明治・大正から昭和初期にかけての近代建築がいくつか現存しています。
モダニズム建築の先駆的作品といわれるのは、「京都市考古資料館」です。

大正3年(1914)に西陣織物館として建築されたもので、京都高等工芸学校(現在の京都工芸繊維大学)教授 本野精吾(もとのせいご)により設計されました。その後西陣織会館は、昭和51 年(1976)に現在の西陣織会館へ移転、建物は昭和53 年(1978)に補強改修工事が行われ、翌年に京都市考古資料館として生まれ変わりました。
築100 年を超える建物です。大きな西陣の石碑もなんだか貫禄があります。

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京都市考古資料館がある今出川通を東に行くと、同志社大学今出川キャンパスがあります。明治・大正期に建てられた重要文化財や国登録有形文化財のレンガ造建物が立ち並び、多くの学生が学んでいます。京都御所も近く、寺社仏閣もあれば行列のラーメン屋さん、おしゃれなカフェや定番の定食屋さんもあり、文化とアカデミックの中に賑わいもある今出川界隈です。

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同志社大学今出川キャンパス内で一般の方も見学できるのが、ハリス理化学館同志社ギャラリーです。


煉瓦の積み方は⾧いものと短いものを交互に組み合わせたイギリス式です。
同志社の歴史と創立者・新島襄の精神を、貴重な資料によって紹介する展示施設です。常設展示や年数回の企画展、キャンパスでの発掘調査出土品や関連文献資料による創立以前の京都の歴史を紹介する展示室などを設けています。建物名の由来にもなっているJ.N.ハリスの寄付によって明治23 年(1890)に竣工されました。同志社における理化学教育の拠点となった建物であり、現在は重要文化財に指定されています。建築家A.N.ハンセルは同じく平安女学院(京都市上京区)の明治館の設計もしています。

他にも、新島旧邸(京都市指定有形文化財)を特別公開されています。
外観はコロニアルスタイルの洋風ですが、造りの基本は和風寄棟住宅です。

※公開日など、詳細は下記ページをご覧ください。
https://archives.doshisha.ac.jp/old_mansion/old_mansion.html

西陣界隈はこのように文化も歴史も深い建物が多く残り、活用もされている魅力あふれるまちです。まだまだお伝えしたい近代モダニズム建築は引き続き紹介していきます。

Special Thanks

京都市考古資料館写真

京都市考古資料館

〒602-8435 京都市上京区今出川通大宮東入元伊佐町265-1
TEL:075-432-3245
URL:https://www.kyoto-arc.or.jp/museum/
開館時間 9:00~17:00 (※入館は16:30 まで)
休館日:月曜 (※月曜が祝日または振替休日の場合は翌日)年末年始12 月28 日~1月3日
入館料:無料

ハリス理化学館同志社ギャラリー写真

ハリス理化学館同志社ギャラリー

〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入 同志社大学今出川キャンパス ハリス理化学館
TEL:075-251-2716 FAX:075-251-2736
E-mail:[email protected]
開館時間:10:00~17:00(※入館は16:30 まで)
休館日:月曜日、祝日、日曜日(企画展開催期間中は開館)、ゴールデンウィーク、夏期・冬
期休暇の一部
URL:https://harris.doshisha.ac.jp/
入館料:無料

Editor

岡元麻有写真

岡元麻有

Art Gallery be 京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe 京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。

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