コラム 西陣を彩る花や植物「美しい5月の花-いずれアヤメかカキツバタ」
西陣を彩る花や植物
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「いずれアヤメかカキツバタ」とは、アヤメもカキツバタもどちらも良く似ていずれも美しい花ですが、同じようで見分けがつけ難いという意味の慣用句です。いけばな嵯峨御流 石川利佳甫先生に5月のアヤメ科のお花について教えていただきました。
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5月は様々なアヤメ科のお花を楽しめる季節です。
▲鳶尾(イチハツ)
御靈(ごりょう)(上御霊)神社(863年創建・上京区上御霊竪町)では4月中旬から『鳶尾(いちはつ)』が見頃となります。アヤメ科の中で一番早く咲く陸草で『一初』と名付けられ、扇型の葉が厄除けになると信じられています。御靈祭の神幸祭がある5月1日は境内で『鳶尾』の苗などの頒布会も行われます。
▲燕子花(杜若・カキツバタ)
ゴールデンウィークが終わる頃には、京都御苑の出水の小川に『燕子花(かきつばた)(杜若(かきつばた))』が咲き始めます。アヤメ科の中で最も高貴な花とされ、文学や絵画に描かれてきました。ちなみに、「燕子花図屏風」で有名な尾形光琳の菩提所は泉妙院(上京区寺之内通新町西入)です。
▲泉妙院(上京区寺之内通新町西入・参拝は要お問合せ)
▲白花アヤメ
5月15日の葵祭の頃に咲き始めるのは本満寺(上京区鶴山町)の『白花アヤメ』です。冷泉家にも御所の小御所のお庭から分けて贈られた『白花アヤメ』が咲くそうです。本満寺も近衞家ゆかりのお寺なので同じ縁の株かもしれないと、想像を膨らませます。
本満寺では『花菖蒲(はなしょうぶ)』や『ルイジアナアイリス』にも出会えます。
最後に「菖蒲(しょうぶ)の節句」と呼ばれる「端午の節句」の行事をご紹介します。この行事の主役は『葉(は)菖蒲(しょうぶ)』と呼ばれる水生植物です。根元の香りが邪気を祓うとされ、屋根に『蓬(よもぎ)』と束ねて飾る「軒(のき)菖蒲(しょうぶ)」を5月4日に飾り、5日の夜お風呂に入れ「菖蒲(しょうぶ)湯(ゆ)」にします。町家ギャラリーbe京都(上京区新町通上立売上る)で毎年行われていて、軒下を通ると浄めになるそうです。
▲ハナショウブ
アヤメ科の植物は園芸種が増え見分けるのは益々難しくなっています。花、葉、育つ場所、開花時期などから判別すると良いと思います。
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石川先生はお花のこと、植物のことが大好きでとても詳しいです。愛猫の万次郎くんも大好き♪子どもたちにもいつもわかりやすく丁寧にいけばなを通じた年中行事を伝えています。ぜひ5月は西陣界隈のアヤメ科の植物を、お楽しみください。
<information>
西陣界隈では実際にアヤメ科のお花を楽しむイベントやお知らせがありますよ。見て美しく、学んで楽しい情報です。
・京都御苑の閑院宮(かんいんのみや)邸跡の車寄(くるまよせ)では4月23日から『燕子花』と『菖蒲』の鉢を一緒に展示されます。どこが違うのか是非観察してみて下さい。
・いちはつの会「いちはつ頒布会」(会場:御霊神社)
いちはつの苗や苔玉などを販売する頒布会を実施いたします。
売上は、いちはつの育成費ほか全て御靈神社の美化活動へ寄付されます。
美しい紫に染まるお堀を是非ご覧下さいませ。
にしZINE内URLリンク
https://nishizine.city.kyoto.lg.jp/event/event-5051/
・邪気を祓うー菖蒲飾り・軒菖蒲体験(会場:町家ギャラリーbe京都)
五節句の一つである端午の節句に合わせて、節句のお話と、菖蒲飾りづくりを行います。ご家庭でも飾ることができるような形で制作します。「軒菖蒲」も体験できます。(要予約)にしZINE内URLリンク
https://nishizine.city.kyoto.lg.jp/event/event-5028/
Special Thanks
石川利佳甫先生(右)
町家ギャラリーbe京都軒菖蒲の下にて。
上京区在住。華道嵯峨御流 総司所教授
be京都こどもいけばな教室(文化庁)特別講師
御霊神社いちはつの会主宰
Editor
岡元麻有
Art Gallery be 京都館長。関西学院大学卒業後、広告代理店にて企業の販売促進を手掛ける。京町家で生活しながらbe 京都で文化芸術活動を発信。京都市プロジェクト推進室にしZINE担当。京都市上京区カミングレポーター。